過剰流動性バブル|によるインフレ

過剰流動性バブル|によるインフレ

インフレーションは、マネーサプライの増大による過剰流動性バブルに由来していると考えられます。

 

中国のマネーサプライ(M2)の伸びは、05年から08年の間、前年比16〜17%で安定的に推移していました。しかし、リーマン・ショックが引き起こした世界同時不況に対して、中国政府が08年9月より金融緩和を実施したことから、マネーサプライの伸びは、09年に同27%まで上昇し、昨年(1〜9月期)も同21%に高止まりしています。

 

ここで、マネーサプライが、実体経済の大きさに対してどれくらい過剰かをみるために、名目GDPと比較しましょう。中国の名目GDPは、08年に前年比17%成長しましたが、09年には12%、10年(1〜9月期)には11%へ伸びが低下しました。このため、マネーサプライを名目GDPで割った値(マーシャルのk)は、08年1.5倍から、09年には1.6倍、10年(1〜9月期)には1.9倍へ増加していま
す。

 

すなわち、名目経済成長率の低下にもかかわらず、金融緩和によってマネーサプライが高止まりしたために生じた過剰流動性バブルが、投機資金として、農産物や不動産市場に流れ込み、広範なインフレーションを引き起こしたと考えられます。

 

金融引き締めに転じたPBOC

広範なインフレーションを受けて、中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)はすでに金融引き締めを開始しています。

 

10年10月19日には、07年12月以来2年10か月ぶりに利上げを発表し、金融機関の預金と貸出の基準金利は、翌20日から0.25%引き上げられました。さらに12月25日にも利上げが決定され、翌日より預金と貸出の基準金利は、0.25%引き上げられています。この結果、期間1年の基準金利は、貸し出しが5.81%、預金が2.75%となりました。また、PBOCが市中に供給したベースマネーによってどのくらいの貸し出しが創造されるかを決める預金準備率も、昨年11月に2回、12月1回、本年1月1回と、3か月に合計4回、17%から19%へ引き上げられました。11月のように、ひと月の間に2回も預金準備率が引き上げられるのは、きわめて異例なことです。

 

加えて、12月12日には中国共産党と政府が11年のマクロ経済政策の基本方針を話し合う「中国経済工作会議」において、今年の政策目標について、「物価水準の安定をより重要な位置に置く」とし、金融政策の基本方針を「適度に和的」から(中立に近い政策を)とりました。
ました。

 

これを受けて、12月27日には、四半期に一度開かれるPBOCの金融政策委員会において、2011年の金融政策運営を「銀行貸し出しと流動性の管理、金融リスクの防止が引き続き重大な任務である」とし、銀行貸し出しの抑制などを通じて過剰流動性の解消に全力を挙げる方針が決定されました。これに先立ち、PBOCは、11月終わりに、金融機関に対する行政指導を強化し、新規貸し出しの抑制を図ることを明らかにしています。